桜の花びらが降る頃、きみに恋をする

「浴衣も髪型も凄く似合ってるから! それに、そのヘアピンつけてくれて嬉しいよ」

陽向とおでかけするたびに、星形のヘアピンをつけているのだけれど、彼はいつも嬉しそうに口元を緩める。

それに、今日は髪型も朝から頑張ってきて良かった。

もう陽向の言葉に、ドキドキが止まらない。

思ったことをそのまま伝えてくれる陽向。

だから、私も伝えたくなった。

言うのは少し恥ずかしいけれど、どうしても伝えたい。

「陽向も、もの凄くかっこいいよ」

だって、目の前には紺色の浴衣を着た陽向がいて、いつもは見ない新鮮なその姿にとてもかっこよく見えたから。

陽向を見てみると、頬を少し赤らめていた。

「蒼、それ言うの反則だから」

「えっ? なんで?」

“反則”って言う意味が分からない。

本当のことを伝えただけなのに。

「なんでって、それは‥‥‥」

「‥‥‥?」
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