桜の花びらが降る頃、きみに恋をする

陽向のその言葉の続きが気になって待っていると、そこに明るい声が聞こえてきた。

「あっ! 陽向、お待たせ!」

現れたのは、黒色の浴衣を着た琉輝くんとピンク色の可愛い浴衣を着た美菜。

「琉輝、助かった‥‥‥」

なぜか陽向は胸を撫でおろしている。

その後の話が聞きたかったのに。

「は? なんのこと? てか、そこにいるのって蒼ちゃん?」

琉輝くんは陽向に冷たい態度を見せた後、私を見た。

「うん、そうだよ」

「蒼ちゃんの浴衣姿初めて見る! それに、いつもと雰囲気が違う!」

「めっちゃくちゃ可愛い! 髪、巻いたの⁉︎」とオシャレに敏感な美菜。

「うん! 朝から頑張ったんだ」

「上手だよ〜! 綺麗に巻けてる」

「ふふっ、ありがとう! 美菜もとっても可愛いよ!」

「そう言ってくれるの蒼だけだよ。琉輝なんてなんにも言ってくれないんだから」

「い、言える訳ねーだろ!」

恥ずかしさのあまり、顔を真っ赤にする琉輝くん。

なんか、さっきの陽向に似てる。

もしかして、陽向は照れていたのかな?

「琉輝、顔真っ赤! タコみたいでおもしろ〜い!」と美菜は甲高い声でケタケタと笑っている。

「うるせー! 人の顔見ておもしろがるな」

「ごめんって!」

「もう!」

なんだかんだ言いつつ仲良い2人。

「みんな揃ったことだし、そろそろ行こう」

陽向の合図で、夏祭り会場へと向かった。
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