桜の花びらが降る頃、きみに恋をする
神社に入ると、そこには祭りを象徴とする赤い提灯が飾れてあって、周囲を明るく照らしていた。
小さな子供から大人まで幅広い世帯で夏祭りを楽しんでいるのが見て取れる。
私たちは、くじ引きや射的などで思う存分楽しんだ後、いろんな屋台を見てまわりながら、それぞれ食べたいものを買った。
通行人の邪魔にならないよう、隅によって買ったものを食べる。
「このたこ焼きめっちゃ熱い!」
そう初めに言葉を漏らしたのは琉輝くん。
「それ、出来立てをフーフーしないで食べるからじゃん」
陽向が言った通り、琉輝くんの手には出来立ての湯気がでてるたこ焼き。
それをフーフーせずに食べるなんてそれはもう口を火傷する。
「いやいや! 陽向、食ってみ! ほんと熱いから!」
琉輝くんは、陽向に食べさせようとたこ焼きを爪楊枝で取るとグイグイさせている。
「めっちゃ熱いならいい」
「え〜、猫舌」
「悪かったな、猫舌で」
そんな陽向が食べているものは、美味しそうな焼きそばだ。
「蒼、そのわたあめカラフルだね」
と手にはかき氷を持った美菜が言った。
私が食べているのは、レインボーカラーになっているわたあめ。
「いろんな味がついてるんだって」
「美味しそう! 少しちょーだい」
「いいよ」と了承すると、美菜はひと口手に取るとパクッと口に入れた。
「ん〜! 美味しい!」
顔を綻ばせる美菜。
「私が食べたところレモン味だ!」
色が付いている部分をそれぞれ食べて、どれがなに味か当てるのもこのわたあめの楽しさの1つでもある。
「1番上のピンク色はいちご味でしょ?」
と陽向が言った。
「当たり! 食べてもないのによく分かったね」
「だって、蒼の好きな味だから」
その言葉に胸の奥がキュンとなった。
陽向の頭の中に私の好きな味がインプットされてあるって思っただけで嬉しくなった。