桜の花びらが降る頃、きみに恋をする
「あっ、そうだ! 蒼ちゃん、スマホ持ってる?」
「持ってるけど‥‥‥」
一体、なにをするつもりなんだろう?
疑問を持って美菜ちゃんを見てみると、「連絡先交換しようよ」と直球な答えが返ってきた。
「えっ?」
驚きのあまり、目をぱちくりさせてしまった。
「せっかく蒼ちゃんと友達になれたんだもん」
と美菜ちゃんの言葉に続けるかのように、「そうそう!」と同情する琉輝くんと「俺も交換してもいい?」と少し遠慮がちに言う陽向くん。
こんな笑えない私なのに、3人は気にもしない。
それどころか友達だと言ってくれて、ほんの少し嬉しい気持ちになった。
「‥‥‥いいよ」
そう答えて、制服のポケットからスマホを取り出すと3人と連絡先を交換した。
今まで連絡先はお母さんしかいなかった。
それが、一気に3人も増えた。