桜の花びらが降る頃、きみに恋をする
それから、2週間が経ったある日のこと。
昼休み、私は職員室で雪野先生からプリントを受け取っていた。
「双葉さん、これ、お母さんに渡してくれる? この前の面談の時に、渡しそびれちゃって」
この前、三者面談あったがお母さんは仕事の都合上来れそうになくて二者面談を希望していた。
もともと、二者面談でも大丈夫だということだったので助かった。
「はい、分かりました。渡しときますね」
「お願いね!」
先生にお辞儀をして職員室を出た。
棟が離れている校舎へと足を進める。
その途中、渡り廊下を歩いていたら中庭の方から声が聞こえてきた。
気になって中庭を見てみると、そこにいたのは男女2人。
女子の方は、先輩らしき人でスタイル良くて綺麗な顔立ち。
一方、男子の方は後ろ姿しか見えないけど、はっきりと分かる。
陽向だ!
「あ、あの‥‥‥私、2年の綾瀬 麻里(あやせ まり)と言います」
先輩は、顔を少し赤らめていてなんだか手をモジモジしてる。
もしかして、これって告白シーン⁉︎
うわっ、どうしよう‥‥‥!
ここだと陽向に私がいることバレてしまうかもしれないから、とりあえずその場を引き返してドアの裏に隠れて2人の様子を遠くから眺めることにした。