桜の花びらが降る頃、きみに恋をする
過去の記憶
高校入学してから、2週間が経過した。
過ごしやすい暖かい気候が続き、桜がまだまだ咲いているそんなある日。
「やっと、昼休みの時間だ! お腹すいた! もう腹ぺこ〜!」
「もう琉輝ったら、さっきからそれしか言ってないじゃん!」
弁当を手に、そんな楽しげなやりとりを繰り広げながら、私のところに来てくれた琉輝くんと美菜ちゃん。
「蒼、一緒に食べよう」
横を見ると、爽やかな笑顔を浮かべている陽向くん。
「‥‥‥うん」
そう返事をして、みんなで机を向かい合わせになるようにくっつける。
私の隣には、美菜ちゃんでその美菜ちゃんの前には琉輝くん。
そして、私の目の前には陽向くん。
3人と仲良くなったあの日から、休み時間になるといつも私のところに来てくれていろんな話をしてくれたり、移動教室では『一緒に行こう』と誘ってくれたり。
3人は、とっても明るくて気軽に話しかけてくれる。
けれど、私はまだ打ち解けることができずにいる。
だって、目の前には、笑いの絶えない3人。
その中に、幼馴染みでもなんでもない私がその輪に入ってていいのだろうかと不安になる時がある。
こんな笑えない私なんか3人の邪魔になっていないかって。