桜の花びらが降る頃、きみに恋をする

ーーねえ、陽向。

今まで、私と過ごした日々はなんだったの?

『今日からよろしく!』

高校入学式、笑顔で私に声をかけてくれた陽向。

今まで、笑えない私に声なんかかけてくれる人なんて誰もいなかったのに陽向だけは違った。

『蒼の全部、俺が受け止めるから』

学校の屋上で、ただただ泣いている私を包み込むように抱きしめてくれた。

優しい言葉をかけてくれた。

『なにも悪くない蒼を責めないで。また傷つけるようなことをしたら絶対に許さないから』

私のために、陽向は怒ってくれた。

それに、私の過去の出来事を話した時も、親身になって聞いてくれた。

陽向のおかげで、私は前を向くことができた。

心から笑うことができた。

忘れてしまっていた感情を取り戻すことができた。

今まで、ずっと暗闇の中にいた私を引っ張り出してくれたのは陽向なんだよ。

なのに‥‥‥。

それなのに、今は‥‥‥。

『ずっと前からその子のことが好きなんです』

『だから、俺のこと諦めて下さい』

陽向のその言葉で、一気に暗いどん底へと突き落とされた。

あの日、お父さんを失った時みたいにショックが大きい。

もう心の中は、ぐちゃぐちゃで言葉になんかできない。

陽向のこと信じてたのに、もう信じられないよ‥‥‥。
< 132 / 209 >

この作品をシェア

pagetop