桜の花びらが降る頃、きみに恋をする
「では、今、元気よく手を挙げてくれたそこの女の子! ステージに来てくださーい!」
とある女の子が選ばれた。
なんだか緊張した様子でその子はステージへと向かう。
今は歩く後ろ姿しか見えないけど、肩ぐらいのストレートな黒髪で、白いワンピースにベージュ色のカーディガンを羽織った女の子。
そして、ステージ上に立つとその子の顔がはっきりと見えた。
お人形みたいにお顔が小さくて、まるで天使かってぐらいに可愛くて‥‥‥。
俺は、初めてみたその女の子に一目惚れをした。
「お名前は?」
飼育員さんに聞かれて、緊張しながらも答える女の子。
「‥‥‥双葉 蒼です」
双葉 蒼ちゃん‥‥‥。
名前を忘れないように、心の中でそっと呟く。
「じゃあ、蒼ちゃん! そこにいるイルカを優しく触ってみて」
すぐ近くには、1頭のイルカが水槽から頭を出していた。
蒼ちゃんはしゃがみ込んでイルカの頭を優しく撫でる。
その瞳は、とてもキラキラしていて動物が好きなことが伝わってくる。
イルカに癒されてか、だんだんと笑みが溢れる蒼ちゃん。
「ありがとう」
そう言った蒼ちゃんの笑顔は、とても可愛くて一瞬にして目を奪われた。
胸が早いぐらいドクンドクンと高鳴る。