桜の花びらが降る頃、きみに恋をする
次の日、また次の日と‥‥‥。
諦めずに訊ねてみるけれど、誰1人として蒼ちゃんを知っている人はいない。
蒼ちゃんが元気でいることが分かったらそれだけでいいのに。
一向に、見つけられない。
‥‥‥蒼ちゃん、どこにいるの?
ふと、蒼ちゃんのお母さんとの会話を思い出した。
『陽向くんは、この町に住んでるの?』
『はい。生まれてからずっとこの町に住んでいます』
『‥‥‥そっか』
もしかしたら、この町じゃないのかな?
そう思って、隣町や少し遠い町など行ってあらゆる人に蒼ちゃんのことを聞いて回ったり、あちこちにある小学校を回ってみる。
けれど、蒼ちゃんらしき人物はいない。
同じ学年くらいの小学生に訊ねても、蒼ちゃんを知っている人は誰もいなかった。
小学校を卒業して、中学生になってもなかなか蒼ちゃんを見つけられない。
もう、俺の心は挫けそうでいっぱいになるけれど、毎日、蒼ちゃんを探さずにはいられなかった。
蒼ちゃんが元気でいることが分かったらそれだけでいいだなんて、もう無理だ。
頭の中には、いつしか蒼ちゃんのことばかり考えてしまっている。
ーー“蒼が好きだ”
イルカショーでみたあの笑顔が忘れられない。
会いたい。
蒼になんとしてでも会いたい。
だって、あの日、約束したんだ。
『また逢おうね』
蒼は眠っていて知らないだろうけど、またあの手を掴むことができたら今度こそは絶対に離したくないんだ。
たとえ、きみが俺のこと覚えてなくてもいい。
それでも、きみに会いたいんだ。