桜の花びらが降る頃、きみに恋をする

こちらに歩いくる小柄な女の子。

‥‥‥蒼?

下を向いて歩いているから、顔がよく見えない。

その子は、俺の隣の席に座った。

肩にかけていたスクールバッグを机の横に掛けようとする。

その瞬間、俺は“あるもの”に目がとまった。

スクールバッグの持ち手のところには、水色のイルカのキーホルダーがついてる。

間違いない!

あの時の蒼だ!

「やっと会えた」

長年、探していた人に。

ますます嬉しくなって、心の声が漏れてしまった。

「‥‥‥?」

そんな俺の声が聞こえたのか蒼は、きょとんとしながら俺の方を向いた。

はっきりと見えたその顔は、とても可愛くて少し大人っぽい雰囲気。

変化の中に変わらないものもあって、あの頃の面影が少しだけ残っていることや同じ髪型だってこと。

昔の蒼と重なって、胸がドクンと高鳴る。
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