桜の花びらが降る頃、きみに恋をする

それから、2週間後。

あの日から、ちょうど7年が経った日。

『‥‥‥私は、大丈夫だから』

学校の屋上で、涙声ながらに蒼はそう言う。

本当は、苦しくて泣いているのになにを聞いても“大丈夫”としか言わない。

強がりかもしれないけれど、俺は蒼が大丈夫じゃないことを知っている。

もう、1人で泣いて欲しくない。

1人で苦しんで欲しくない。

泣き崩れる蒼を抱きしめた。

まるで、7年前のあの日のように。

それからというものの俺は、蒼に元気を取り戻してほしくて必死だった。

いろいろと誘ってみるけれど、断られてばかり。

だけど、めげずに何回も誘ってみると、蒼は了承してくれた。

4人で食べに行ったクレープ屋さん。

『美味しい』

もぐもぐとクレープを頬張る蒼。

なんだかリスみたいで可愛いかった。

『ふふっ』

その声に驚いて横を見ると、蒼が笑ってた。

口にクリームがついてたなんてめっちゃくちゃ恥ずかしかったけど、蒼が笑顔を取り戻してくれて別にいいやと思えた。

それに、あの時、イルカに向けていたあの笑顔が今は俺に向いていてなんだか嬉しかった。
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