桜の花びらが降る頃、きみに恋をする
待ち望んでいた水族館に入ると、目の前には大きな水槽の中を泳ぐたくさんの魚たち。
他にも、ヨチヨチと歩くペンギンに、薄暗い部屋に白い光を放ちながら優雅に泳ぐクラゲなど。
動物や生き物が好きな私は、とてもテンションが上がっていた。
しばらく館内を回っていた時、場内アナウンスが流れ、イルカショーがあと15分後に始まると伝えられた。
「お父さん、お母さん、早く早く〜! もうすぐイルカショー始まっちゃうよ!」
「ほんと、蒼はイルカ好きだな」
お父さんは私の様子を見て笑う。
その横にいるお母さんは苦笑い。
「そんなに急がなくても」
それでも高まる気持ちを抑えきれない。
「だって、本物のイルカ早く見たいんだもん!」
今まで図鑑やテレビの中でしかイルカを見たことがなかった。
だから、とっても楽しみにしていたんだ。