桜の花びらが降る頃、きみに恋をする

スポーツ大会の日。

『陽向くん、がんばって!』

たくさんの声援の中から聞こえてきた声。

蒼が応援してくれるなら、俺はなんだって頑張れる気がした。

その日の放課後。

『‥‥‥好き、とかじゃない』

蒼のその言葉に、少しショックを受けた。

今はただ、恋愛対象と捉えなくてもいい。

友達として、これから徐々に距離を近づいていけたらと思った。

そして、帰り道。

蒼があの日のことを打ち明けてくれた。

父さんから聞いてはいたけれど、やっぱり、事故直後の記憶がなかった。

そして、今も蒼はお父さんを失ったのは自分のせいだと責めていた。
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