桜の花びらが降る頃、きみに恋をする

2人だけで行ったお出かけ。

『なにこの子! 可愛い〜!』

猫カフェで、しゃがみこんで子猫の頭を優しく撫でる蒼。

その姿は、7年前、イルカの頭を撫でる蒼の映像と重なって見えた。

ほんと、あの頃と変わらない。

今も、蒼が動物好きでいてくれて良かった。

猫たちもだけど、隣でたくさん楽しそうな顔をしてる蒼を見たら、こっちまで癒されてる気分になった。

『あ、あともう少し‥‥‥って、なんでそっち行っちゃうの‥‥‥』

猫にスルーされまくって拗ねる蒼。

『うわっ!』

立ち寄った雑貨屋さんで、びっくり箱を渡すといいリアクションをしてくれた。

『もう、陽向くんのバカ! そんな冗談は良くないよ!』

怒る蒼すらも可愛く思えた。

星形のヘアピン。

お父さんからプレゼントして貰ったと言っていた、いるかのキーホルダーも水色。

ピンクを選んだ理由は、もう1つ理由がある。

でも、今の蒼には言えなかった。
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