桜の花びらが降る頃、きみに恋をする

蒼が風邪で学校を休んだ日。

今日1日、蒼に会えないのかと思うとなんだか寂しいし、正直、学校がつまらなかった。

『‥‥‥ずっと、傍にいてくれる?』

お見舞いに行くと風邪で頬が少し赤くなった蒼。

甘えてきてくれるその姿さえとても愛おしく思えた。

『本当に、大丈夫だから‥‥‥って、きゃっ!』

翌日、階段から足を踏み外してしまう蒼。

ほんと危なっかしいし、とにかく目が離せない。

放課後、俺の部屋で蒼と2人きりの勉強会。

『いやいや、陽向くんの教え方が上手だからだよ』

蒼は、俺を喜ばせる天才で、

『‥‥‥ひ、なた』

初めて呼び捨てで呼んでくれて、蒼との距離が一気に近くなったのを感じ、とても嬉しかった。
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