桜の花びらが降る頃、きみに恋をする
「蒼、待って。話がしたいんだ」
昼休み、弁当を手に美菜のところに向かおうとする蒼を引き止めた。
蒼に本当のこと話そう。
それでいて、俺の気持ちも。
けれど、蒼は目の前にいる俺を横切って美菜のところへと向かっていった。
‥‥‥はぁ。
思わずため息をついた。
美菜と電話した日から確実に美菜からも無視されてるけれど、好きな人からスルーされるって相当きつい。
ーー『もう、なにも聞きたくないよ! お願いだから、これ以上私に優しくしないで!』
俺はもう、蒼に話しかけることも触れることも許されないの?
「あ〜ぁ。お前、完全に嫌われてるじゃん」
「‥‥‥うるさい」
のこのこと現れてきた琉輝に、力なくそう返した。
琉輝は、俺の前の席に向き合うように座ると弁当を広げる。
俺も同じように弁当を広げると、おかずを口に運んだ。
‥‥‥もう4人で弁当食べることもないのかな。
いつしか、心の中はぽっかり穴が空いてしまっている。