桜の花びらが降る頃、きみに恋をする

【陽向 side】

琉輝に連れられてきた場所は、あの日からちょうど7年が経った日、泣いている蒼を抱きしめた屋上だった。

そこに着くなり、琉輝は俺の腕を離し向き合うように立った。

「陽向、いつまで俺に隠すつもり?」

「なにが?」

「だから、お前がずっと隠してることだよ」

俺がずっと隠してること‥‥‥。

それは、さっき言えずにいた7年前のあの日のこと。

「あの頃は、無理に話そうとしてくれなくていいって思ってた。いつか話してくれるだろうって。でも、お前は7年経った今も話そうとしてくれない」

琉輝の目がだんだん怒りへと変わる。

「俺は、もう我慢できないんだよ! 蒼ちゃんのこともお前のずっと教えてくれないことも、もう全て話してもらうから!」

ついに、この時がきてしまったと思った。

琉輝に話さなければいけない日がきたと。

今まで何回も何十回も見逃してくれてたけど、もう見逃してくれるはずがない。

それに、昔、琉輝は俺に言ったんだ。

ーー『陽向になにがあろうと、いつでもお前の味方だってこと!』

蒼と美菜との関係が壊れてしまっている今、琉輝だけは俺の味方でいてくれている。

幼馴染みだから、親友だから‥‥‥。

「‥‥‥琉輝。分かったよ。全部、話すよ」

俺は、もう隠し続けることをやめた。
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