桜の花びらが降る頃、きみに恋をする
「美菜! お待たせ〜!」
タイミング悪く入ってきたのは琉輝。
その後ろには蒼の姿。
「‥‥‥み、な?」
蒼はどうして美菜が泣いているのか分かってない様子。
そして、見る見るうちに血の気が変わり俺をキッと睨んだ。
久々に俺を捉えたその目は怒っていた。
「美菜、行こう」
「蒼、これは違うの。って、ちょっと、蒼?」
美菜を引っ張って蒼は教室を出て行ってしまった。
ぼーっと突っ立っている俺の元に、琉輝が来た。
「陽向、美菜に話したのか?」
美菜が泣いていた理由がすぐに分かったのだろう。
琉輝はそう尋ねてきた。
「うん。全部話したよ」
「じゃあ、蒼ちゃんだけがなにも知らないままってことか」
美菜が言わない限りそうなる。
「さっき伝えた時、蒼はどうだった?」
「どうって言われても、事故直後の記憶がないせいかあまりピンときてない様子だったよ」
「‥‥‥そっか」
どうしたら蒼に分かってもらえるんだろう?
1番分かって欲しいのに‥‥‥。
もう1度、俺の隣で笑ってくれる日々は来るのだろうか。