桜の花びらが降る頃、きみに恋をする
「蒼、顔をあげて。謝るのは俺の方もだよ」
「えっ……?」
ゆっくりと顔を上げると、今度は陽向が私に頭を下げた。
「あの日のこと、ずっと黙っててごめん‥‥‥入学式の時、ウソついてごめん。俺の言葉で、蒼を傷つけた。それに、手加減忘れて蒼の腕を握り締めてた。ほんと、ごめん‥‥‥」
あの時、手加減を忘れるほど陽向も必死だったこと。
それに、今でも私の腕のこと気にしてくれてたんだ。
陽向は、物凄く優しい。
きっと、誰よりも。
「陽向、もういいよ。十分、伝わったよ」
陽向がゆっくりと顔を上げた。
それと同時に、視線が重なる。
「陽向だったんだね。あの時の男の子は」
確認するように聞くと、陽向は頷く。
「うん」
「じゃあ、あの時、私のお父さんを懸命に措置してくれてたのは、もしかして‥‥‥」
「俺の両親。蒼のお父さん助けられなくてほんとごめん」
陽向が過去の話をしてくれた時もそうだけど、陽向は私のお父さんを助けられなかったことをずっと悔やんでいたんだ。
「ううん。謝らないで。必死になってお父さんを助けようとしてくれていたんだもん。凄く感謝してる」
そう伝えると、陽向は少し安心した表情を浮かべた。
私は、涙を袖で拭うとずっと気になっていることを陽向に聞いた。