桜の花びらが降る頃、きみに恋をする
「俺は、また蒼に恋をしたんだ」
「‥‥‥っ」
その瞬間、あまりの嬉しさにさらに涙がポロポロと溢れ出した。
「それからというものの、蒼と過ごすたびに、ますます好きが溢れて自分の気持ちを隠すのに必死だった。蒼があの時のことを覚えてないって分かってても、それでも蒼の傍にいたかったんだ」
「陽向‥‥‥」
「本当は、もっと早くに好きだと伝えたかったよ。今まで、蒼が俺のことどう思っているか分からなかったし、好きと言ってしまえば蒼との関係が変わるのが怖かった。けど、離れて分かったんだ。蒼が俺以外の誰かのものになる方がよっぽど怖いって。蒼を手放したくなかった。泣かせたくなかった。できれば、俺の隣でずっと笑っていて欲しかった。もう、蒼に触れることもできないのかって思うとこんなに苦しかったし。もう止められないんだよ。好きだと思う気持ちは」
陽向のその気持ちが痛いほど分かる。
私も同じ気持ちだったから。
「俺じゃ、ダメ‥‥‥? 蒼を笑顔にするのも、蒼を幸せにするのも、俺じゃダメ?」
まるで捨てられた子犬みたいな潤んだ瞳でそんな事言うのずるいよ‥‥‥。
「全然、ダメな訳ないよ」
そう言って、私は陽向の頬にそっと手を触れた。
「だって、私‥‥‥」
ずっと我慢していた想い。
陽向に、ずっと伝えたかった言葉。
勇気を振り絞って、きみに届け。