桜の花びらが降る頃、きみに恋をする

辿り着いた場所は、以前、クリスマスになったら一緒に行こうと約束していた駅前近くにある大きな広場。

中に入ってみると、たくさんの人で賑わっていた。

真ん中には、一際目立つ大きなクリスマスツリー。

イルミネーションの点灯式までまだ時間があるけれど、これだけでも大迫力。

それに、クリスマスイベントが開催されていて出店もたくさん。

「メリークリスマス!」

サンタクロースやトナカイの帽子を被ったお店の人たち。

クリスマスにちなんだ曲も流れていて、一気に楽しい気持ちになる。

「蒼、なに食べたい? なに飲みたい?」

「ん〜っと、温かい飲み物が飲みたいかな」

「じゃあ、あそこ温かい飲み物売ってるみたいだから買いに行こう」

「うん!」

2人でホットココアを頼んで、空いていたベンチに座る。

陽向と恋人になって初めてのデートが、こんなにも楽しい。

好きな人が隣にいる。

私に優しく微笑みかけてくれる。

もう胸はドキドキしっぱなしで破裂してしまいそう。

他愛ない会話をしながら、ホットココアを飲み終えた後、再び陽向と手を繋いで出店をぶらりと周った。
< 206 / 209 >

この作品をシェア

pagetop