桜の花びらが降る頃、きみに恋をする
「陽向、私ね、思うんだ。もし、あの日、あの時、陽向と出逢っていなかったら、私は陽向に恋をする事なんてなかったかもしれない。この町に引っ越しすることなんてなかったかもしれない。笑うことも、前を向くことも、幸せを手に入れることもできなかったかもしれない。ずっと、暗闇の中を1人で彷徨っていたと思うの。でも、あの時、陽向に出逢えたから私は本当の自分でいることができた。幸せになっていいんだと思えることができた」
幸せになっちゃいけない人なんていない。
誰にだって、幸せになるために生まれてきたんだから。
「私、陽向に出逢えてとっても幸せだよ」
笑顔でそう伝えると、陽向もつられて笑う。
「俺も、蒼に出逢えてとっても幸せだよ」
暗闇だった私の世界に、光を灯してくれた陽向。
“1人じゃないよ”と教えてくれたきみ。
どんな時だって傍にいて守ってくれる。
きみと生きる世界は、こんなにも明るい未来が広がっていたんだ。
「蒼」
陽向の手がそっと頬に触れた。
視線が重なり合う。
「好きだよ。ずっと、これからも」
真っ直ぐな言葉に、高鳴る鼓動。
徐々に陽向が近づいて、私は身を委ねるように目を瞑った。
ひらひらと冷たい雪が舞い落ちる中、私たちは温かいキスを交わした。
ーENDー