桜の花びらが降る頃、きみに恋をする
陽向くんの腕の中はとても温かくて、しばらく涙が止まらなかった。
もう泣き止んだら目が真っ赤になっているんじゃないかってぐらい。
「蒼、少しは落ち着いた?」
「‥‥‥う、うん」
頷くと、ようやく陽向くんの腕から解放された。
私は、今更ながらにこんなにも泣いてしまったことが恥ずかしくなって顔を俯かせると、私の頬にそっと手が添えられた。
「また、泣きたくなったらいつでも言って。すぐに駆けつけるから。だから、もう1人で泣いちゃダメだよ。分かった?」
「‥‥‥うん」
ゆっくり頷くと、陽向くんはにこりと笑って、残っていた涙の跡を指で優しく拭ってくれた。
それから、陽向くんは私の横に座って一緒にいつの間にか赤く夕日に染まった空を見つめた。