桜の花びらが降る頃、きみに恋をする
忘れていた感情
きみは、とっても優しい。
本当は、私に聞きたいことたくさんあるはずなのに。
この前、屋上で泣いていた理由も‥‥‥。
なに1つ聞かないで、傍にいてくれる。
「蒼!」
顔を上げると、いつになく明るい陽向くん。
「どうしたの?」
「さっきね、琉輝たちと今日の放課後クレープ食べに行こうという話になったんだけど、蒼も一緒に行かない?」
これまで、陽向くんは面白い話をしてくれたり、4人でどこか食べに行こうって誘ってくれることもしばしば。
きっと‥‥‥。
ーー『蒼を笑顔絶えないぐらいに楽しませるから覚悟してて』
陽向くんは私が楽しくなるようなことを考えてくれているんだと思う。
けど、私は毎回誘いを断っていた。
『私はいいよ。3人で行っておいで』
笑えない私なんかいても楽しくないと思ったから。
そう誘いを断ると、陽向くんは少し眉を下げる。
『蒼、どうしてもダメ?』
『‥‥‥うん』
頷くと、陽向くんはそれ以上深く追求してこなくて、その代わり‥‥。
『じゃあ、その気になったらいつでも言って。4人で食べに行こう!』
と言ってくれた。