桜の花びらが降る頃、きみに恋をする
ふと、陽向くんを見てみると口元に生クリームがついていた。
それが、なんだかおかしくて‥‥‥。
「ふふっ」
思わず吹き出してしまった。
3人が一斉に私を見つめる。
「今、蒼ちゃん笑ったよね?」
美菜ちゃんの問いかけに琉輝くんがコクコクと頷く。
「笑った笑った! 俺、この目でちゃんと見たよ!」
自分でも笑ったことに驚きを隠せない。
陽向くんは、目をまん丸にしてる。
「蒼ちゃんの笑った顔、めっちゃ可愛い〜! なにこの可愛い生き物は⁉︎」と、とても喜ぶ美菜ちゃん。
なんだか大袈裟な気が‥‥‥。
「やっと、蒼が笑ってくれた」と笑顔を浮かべる陽向くん。
「って、お前、口にクリームついてるぞ」
「えっ、まじか。超恥ずかしいんだけど」
琉輝くんの指摘で陽向くんは慌てて口元についてる生クリームを拭うけど、美菜ちゃんが見逃してくれるはずなくて‥‥‥。
「蒼ちゃん! 陽向ってね、たまにこういうお茶目な部分があるんだよ。子供っぽいでしょ?」
「ちょ、美菜! 子供っぽいは余計!」
美菜ちゃんの言葉に慌ててつっこむ陽向くんが面白くて、またクスリと笑った。
なんだか楽しいな。
クレープもとても美味しくて、気付けば完食できていた。
私、なんで今までみんなの誘いを断ってたんだろう。
3人に心の距離を置いていた自分がバカらしく思えた。