桜の花びらが降る頃、きみに恋をする
そんなこんなで、試合は残り1分を切っていた。
相手チームのパスを奪い取って、突き進む琉輝くん。
「琉輝! いいよ! その調子!」
当然、彼女である美菜ちゃんは応援する。
ボールを取り返そうと相手チームが必死になったところで新たなパスが繋げられた。
「陽向!」
「おう!」
陽向くんは、琉輝くんからボールを素早く受け取ると、ドリブルしながらゴールへと向かう。
だけど、もう時間がない!
これがラストチャンスだ。
「いけー! 陽向!」
美菜ちゃんも他のみんなも陽向くんを応援してる。
私も応援しなきゃ!
メガホン代わりに手を口元に当て、声を張り上げた。
「陽向くん、がんばって!」
すると、陽向くんが一瞬だけこっちを見た気がした。
‥‥‥私の声が陽向くんに届いた?
実際のところは分からない。
だけど、この白熱の試合にハラハラドキドキして誰もが陽向くんに注目している。
“お願い、陽向くん! ゴールを決めて!”
私は、祈るように両手を握りしめた。
その瞬間、陽向くんはバスケットゴールに向かって弧を描くようにボールを投げた。
見惚れてしまうほど、綺麗なフォーム。