桜の花びらが降る頃、きみに恋をする

‥‥‥スポッ。

見事バスケットゴールに入ると、そこで試合終了のホイッスルが鳴った。

それと同時に、たくさんの歓声が沸き起こる。

陽向くんの最後の決め手で優勝が決まったのだ!

さっきまでのハラハラドキドキとは打って変わって、抑え切れない高揚感に包まれる。

「陽向、ナイスシュート!」

「琉輝もナイスパスだったよ!」

陽向くんの周りに、同じチームの人たちが集まってハイタッチを交わしている。

「ほら、私が言った通り勝ったでしょ?」

「凄いよ、美菜ちゃん!」

「長年の付き合いだから、こんなもんは分かるんだよ」

「さすが幼馴染みだね」

そう喜んでいると、陽向くんたちは私たちがいるギャラリーの下まで駆け寄って来てくれた。

「美菜、蒼ちゃん、今の試合見た?」

琉輝くんの問いに「ばっちり見たよ〜!」と美菜ちゃんはVサイン。

「優勝おめでとう!」

そう伝えると、陽向くんは微笑んだ。

それだけで、周りから黄色い悲鳴が湧き起こる。

「きゃ〜‼︎ スマイル王子!」

「あの笑顔反則!」

うわ〜、凄い‥‥‥!

女子の視線が陽向くんに集中している。

だけど、当の本人はそんな視線を気にしておらず、私を見つめていてこっちがどうにかなってしまいそう。

「蒼、応援ありがとう!」

「‥‥‥!」

ちゃんと届いてたんだ!

陽向くんは、満足な笑みを浮かべて私に大きく手を振ってくれた。

その姿がなんだか可愛くて、私は小さく手を振り返した。
< 46 / 209 >

この作品をシェア

pagetop