桜の花びらが降る頃、きみに恋をする

「双葉さん、ちょっといい?」

その日の帰り。

同じクラスの子に呼び止められ体育館裏に移動した。

彼女の名前は、神崎 皐月(かんざき さつき)さん。

1人でいるところを見たことがないくらい、いつも仲良い女子グループの中心にいて、男子からは綺麗め女子として評判が高い神崎さん。

なのに今は、腰に手を当てていて私を睨みつけてる。

なんだか嫌な予感がする。

「あのさ、最近見て思ったんだけど、あんたは一ノ瀬くんのことどう思ってるの?」

「どうって?」

「だから、一ノ瀬くんのこと好きか聞いてるの!」

思ってもいなかった質問に、一瞬驚いてしまった。

それから、私は少しの間考えた後、ぽつりと言った。

「‥‥‥好き、とかじゃない」

友達としては好きだけど、神崎さんが言う恋愛とかの好きではないと思う。

「じゃあ、なんでいつも隣にいるわけ? 昼休みの時も一緒に弁当食べたりして、さっきのスポーツ大会の時だって、一ノ瀬くんに手を振られただけで嬉しそうな顔しちゃってさ。本当に、一ノ瀬くんのこと好きじゃないなら今すぐ離れてよ」

「‥‥‥」

離れたくない。

せっかく、できた友達なのに。
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