桜の花びらが降る頃、きみに恋をする
陽向くんはそっと離れて、私と向かい合わせに立つと申し訳なさそうに謝った。
「蒼、ほんとにごめん。俺のせいでこんな目に遭わせて‥‥‥」
陽向くんの心配するような優しい声。
いつもの陽向くんに戻ってる。
「ううん。大丈夫だよ」
さっき、神崎さんに肩を押された時は、あの日のことを思い出してしまいとても苦しかった。
でも、陽向くんが来てくれて安心へと変わったんだ。
「助けてくれてありがとう」
そうお礼を伝えると、陽向くんは小さく微笑んだ。
ーー『なにがあっても絶対に蒼を守るよ』
以前、私が屋上で泣いていた時もそうだ。
どうして、陽向くんは私がなにかあった時はすぐに駆けつけてくれるのだろう?
「蒼、一緒に帰らない? 本当は、それを伝えたくて探してたんだ」
「私を?」
「うん」
「美菜ちゃんたちじゃなくて?」
「もちろん美菜たちも大切だよ。それと同じくらい蒼のことも大切で蒼のこともっと知りたいし、蒼と一緒にいたい。こんなこと言ったら、ダメかな?」
陽向くんのストレート過ぎる言葉に胸を打たれた。
なぜ、こんなにも心を揺さぶられるのだろう。
きっと、何事にも動じなくて優しい心を持った彼に私はひき寄せられてるのかもしれない。
「ううん。ダメじゃないよ」
そう伝えると、陽向くんは嬉しそうに表情を緩ませた。