桜の花びらが降る頃、きみに恋をする

「あのさ、蒼」

今日も今日とて、美菜ちゃんたちと別れた後も、隣を歩いてくれている陽向くん。

「どうしたの?」と尋ねると、陽向くんは恐る恐るという様子でこう言った。

「いきなりで申し訳ないんだけど、今度の日曜日ってあいてる?」

「あいてるよ」

「じゃあさ、おでかけしない?」

「いいね! したい!」

おでかけなんて久しぶり。

あの日以来、休日の日には家にこもっていることが多かったから。

「あっ、そうだ! 美菜ちゃんたちにも伝えなきゃ」

バッグからスマホを取り出そうとすると、陽向くんはそれを制止した。

「ひ、陽向くん?」

不思議に思い、彼を見上げると真剣な表情をしていた。

「その‥‥‥4人でじゃなくて蒼と2人で行きたい」

「え、えぇっ⁉︎」

真っ直ぐ言われたその言葉に、私は思わず目を見開いてしまった。

私と2人で‥‥‥?

てっきり、4人で行くのだと思ってた。
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