桜の花びらが降る頃、きみに恋をする

1年A組の前を通り過ぎると、すぐに1-Bと札がかかった教室が見えた。

扉には、座席表が貼ってあり自分の席を確認すると、ベランダ側の1番後ろの席だった。

恐る恐る中に入ると、まだ40人中15人くらいしか来ていないと思うが活力とエネルギーで満ち溢れた人たち。

これまた、中学が一緒だったのだろうか仲良く話している人や新しく友達を作ろうとしてる人など。

賑やかな町だからこんなにも活発な人たちが多いのだろうか‥‥‥。

私は下を向きながら自分の席へと歩く。

前を向いて歩くことも、ましてや笑顔になることもできない私。

あの日に全部捨ててしまったのだから‥‥‥。

そっと自分の席に着いて、先程まで肩にかけていたスクールバッグを机の横に掛けると、その振動で持ち手のところにぶら下げていた水色のイルカのキーホルダーが横に揺れた。

このイルカのキーホルダーは、あの日、お父さんから貰ったもの。

長年身につけていて少し色褪せてきているけれど、今も大事に持っている。
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