桜の花びらが降る頃、きみに恋をする
部屋に入ると、バッグからラッピングされた袋を取り出した。
リボンを解いて袋を開けると、陽向くんから貰ったヘアピン。
『女の子らしくて、蒼に似合うんじゃないかって』
脳裏に陽向くんの言葉を思い出しては、頬が緩む。
『そりゃあ、笑顔がとっても可愛くて、動物が大好きで、どこか強がりなのに、泣き虫な蒼って思ってたよ』
‥‥‥あれ?
あの時は気づかなかったけど、なんで陽向くんはこんなことを言ったんだろう?
私の今までの印象を聞いたはずなのに。
陽向くんと出会った頃は、全然笑うことなんて出来なかったのに。
それに‥‥‥。
『蒼は、本当に動物が好きなんだね』
陽向くんは私が動物が好きなことを知っていた。
お出かけに誘ってくれた時も。
『蒼が思わず笑顔になれるとっておきの場所、猫カフェだよ』
私が楽しめる前提だったこと。
陽向くんは、私のなにを知ってるの?
考えても答えに辿り着けなくて、ますます謎は深まるばかり‥‥‥。