桜の花びらが降る頃、きみに恋をする
「蒼、陽向くんが来てくれたわよ!」
いつになくテンションが高いお母さん。
その背後には、コンビニの袋を片手に持った陽向くん。
学校終わって来たらしく制服姿。
「突然お邪魔してごめん。体調のほうはどうかな?」
「あっ、う、うん。朝と比べてだいぶ良くなったよ」
パジャマ姿の私は、なんだか恥ずかしくなって毛布で少し顔を隠しながら答えた。
「蒼、なに照れてるの?」
「て、照れてないよ! それより、お母さん。時間大丈夫なの?」
「あっ! いっけない! 仕事に行く時間だったわ」
お母さんは慌てて支度を始めた。
「陽向くん、蒼のことお願いしてもいいかな?」
「はい! 任せてください」
「ふふっ。頼もしいわ! それじゃあ、仕事に行ってくるわね」
「いってらっしゃい」
お母さんが仕事に出かけて行ってしまった今、部屋には陽向くんと2人。