桜の花びらが降る頃、きみに恋をする
「あっ! そういえば、学校帰りにコンビニに行って消化にいいもの買って来たんだ」
陽向くんは話を逸らすように、話題を変えた。
がさごそとコンビニの袋の中から1つずつ見せてくれる。
「スポーツドリンクに栄養ドリンク。それから、ヨーグルトにゼリー。あと、いちごプリン」
「いちごプリン?」
「そうだよ。蒼が好きそうかなって思って買ったんだ。前に4人でクレープ食べに行った時、いちごがのっているの頼んでいたし」
覚えててくれてたんだ。
「いちご好きだよ」
そう伝えると、「良かった」と陽向くんは笑った。
一生懸命私のことを考えながら買ってくれたことが分かって、なんだか胸がじーんとする。
「蒼、どうする? 今、食べたい? お腹空いてなかったら後で食べてもいいけど」
「ううん。今、食べたい」
「分かった。無理せず食べれる分だけでいいから」
「うん」
毛布を退けて、ベッドからまだ少し重たい体を起こそうとすると、陽向くんが背中に手を当てて支えてくれた。
「ありがと」
「ううん! 今、準備するからちょっと待ってて」
そう言って陽向くんは、いちごプリンの容器の蓋を開け、スプーンで一口掬い上げると私の口元へと伸ばした。