桜の花びらが降る頃、きみに恋をする
「わー! 蒼ちゃんだ! 元気になったんだね!」
教室に入った途端、琉輝くんと美菜ちゃんが駆けつけてくれた。
「蒼ちゃんに会いたかったよ!」
そう言いながら、美菜ちゃんは私を抱きしめてくれた。
こんなに温かく迎えてくれて嬉しくなった私は、美菜ちゃんの背中に腕を回して2人に言った。
「ごめんね、美菜ちゃんと琉輝くん。昨日、返事くれてたのに返せなくて」
「いいよいいよ! そんな気にしないで」
と琉輝くんは手をひらひらさせ、美菜ちゃんは抱きしめたまま優しい言葉をかけてくれた。
「蒼ちゃんが元気になってくれただけで、それだけで十分嬉しいから」
「ありがとう」
私は、とっても良い友達に囲まれてる。
きっと、陽向くんと出会わなきゃこんなにも仲良くなることなんてなかった。
「あっ、そうだ! 蒼ちゃんに1つだけ良いこと教えてあげる」
「‥‥‥?」
美菜ちゃんに抱きしめられたまま、そっと耳打ちされる。
「蒼ちゃんに会えなくて1番寂しがっていたのは、陽向だよ」
「えっ? うそっ⁉︎」
「ほんとだよ」
昨日、お見舞いに来てくれた時そんな素振り見せてなかったのに。