桜の花びらが降る頃、きみに恋をする

「ちょっと、陽向くん困ってるから!」

「蒼ちゃんに言われたら、そりゃ止めるしかないわ〜」

と琉輝くんは陽向くんへのいじりを止めてくれたけど‥‥‥。

「もう、蒼ちゃんは本当に可愛いんだから〜!」

今度は、美菜ちゃんが私の頭をポンポンと撫でてきてこっちが恥ずかしくなる。

そこへチャイムが鳴ってしまい「また後でね」と言い琉輝くんと美菜ちゃんは自分の席へと戻って行ってしまった。

突然の置いてけぼりをくらった私に、陽向くんが話しかけてくれた。

「蒼、さっきはありがとう」

「う、ううん!」

「蒼がいてくれてほんと良かったよ」

陽向くんの言葉に、心臓が飛び出してしまいそうなほどドキドキしてしまう。

昨日までは、こんなことなかったのに‥‥‥。

「昔から、琉輝たちはああやって俺のことからかってくるから困ってたんだ」

陽向くんには聞こえてないみたいで普通に話してくれるけれど、正直、胸のドキドキを隠すのに精一杯。

「でも、なんだかんだ言ってあの2人に救われてる部分たくさんあるんだけどね」

と陽向くんはにこやかな笑顔を浮かべた。

それを見て、私の胸の中でキュンと疼いた。

‥‥‥もう、朝からかっこ良すぎる。

そこへ、担任の雪野 穂花(ゆきの ほのか)先生が教室に入ってきて朝礼が始まった。

雪野先生は、20代前半でスタイル良くてパーマがかった長い髪を後ろで束ねている。

元気で明るい先生で、みんなから信頼されている。

「2週間後には、期末テストがあります! 皆さん勉強しとくように!」

‥‥‥あっ。

期末テストがあることすっかり忘れてた。

「あと、赤点取ったものに関しては夏休み補習に来てもらいます!」

満面な笑みを浮かべながら、とんでもないことを言う雪野先生。

「「「えーーーー⁉︎」」」

みんなの声が一斉にこだました。
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