桜の花びらが降る頃、きみに恋をする

それから、いつものように授業が始まったけれど、3時間目の頃には、私の心の中は焦っていた。

ちなみに、科目は私の苦手な数学。

黒板には、数式がたくさん並んでいるけれど、全然分かんない。

‥‥‥どうしよう。

どうしよう!

昨日、学校休んだせいで全然内容が追いつかない。

教科書は、もう数ページ先いってる。

先生の説明を聞くのと、黒板の字をノートに写すだけで精一杯。

「‥‥‥はぁ」

授業が終わった途端、思わずため息をついてしまった。

「どうした、蒼?」

陽向くんがそんな私に気付いて声をかけてくれて、私は悩みを正直に打ち明けた。

「昨日1日休んだだけで、授業がこんなにも先いってるなんて思ってなくて‥‥‥今度のテストどうなるんだろう」

今まで赤点なんて取ったことはないけれど、夏休みに補習になることだけは絶対阻止したい。

それから、陽向くんも一緒になってどうすればいいか頭を捻らせていると、突然「あっ!」となにかを閃いたみたいで陽向くんはこう言った。

「じゃあさ、一緒に勉強会しない? 俺の家で」

「えっ‥‥‥」

ひ、陽向くんの家で⁉︎

「えーーーー⁉︎」

驚きのあまり開いた口が塞がらない。

慌てて口元を手で押さえたけれど、胸の鼓動は高鳴るばかり。

「どうかな?」と尋ねた陽向くんに、私は戸惑いながらもコクリと頷いた。
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