桜の花びらが降る頃、きみに恋をする

それからまた授業が始まったけれど、私の頭の中はそれどころではなかった。

先生の話なんて私の耳には入ってこなくて、これからの勉強会のことばかり考えてしまっていた。

陽向くんはどういう家に住んでいるんだろうとか突然お邪魔してもご両親に迷惑じゃないかなとか。

挙げればいくつでもある。

そして、謎の緊張感とともに迎えた放課後。

昨日の遅れを取り戻すべく、勉強会は早速今日から始めることとなった。

学校が終わると、一旦家には帰らずそのまま一緒に陽向くんの家へと向かう。

勉強会しようと言ってくれたけれど、2人だけでなんて聞いてないよ……。

「ここだよ」

陽向くんに案内されて着いた先は、見るからに高級マンション。

私のアパートとは全然比べ物にならない。

恐る恐る中に入ると、ロビーは広くて床には大理石のようなものが‥‥‥。

近くにエレベーターが2つあってそのうちの1つに乗り込んだ。

陽向くんは、【20階】と書いてあるボタンを押す。

20階以降のボタンがないから、もしかしたら最上階?

「蒼、先に言っとくけど、琉輝と美菜もこのマンションに住んでいるんだ」

「えっ? そうなの?」

「うん。琉輝は19階の306号室で、その隣の307号室が美菜のお家」

「隣同士なんだね」

そうこう話しているうちに20階に到着し、エレベーターからでた。

陽向くんの後を追って着いた先は、312号室。

「ここが俺の家だよ」

陽向くんは、鍵を取り出して扉を開ける。

「さぁさぁ、あがって」

「お、お邪魔します」

お家にあがると、とても清潔感があるお家。

陽向くんのお部屋に入ると、モノトーンで統一してあって、とても男の子らしいお部屋。

異性のお家にお邪魔するのは初めてで、なんだか緊張する。
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