桜の花びらが降る頃、きみに恋をする
「蒼、飲み物持ってくるけど、お茶とオレンジジュースどっちがいい?」
「あっ、じゃあ、オレンジジュースで」
「りょーかい! 持ってくるからその辺に座って待ってて」
「う、うん」
その辺に座ってって言われてもどこに座ればいいか分からず、テーブルの前にちょこんと座った。
なんだか心が落ち着かない。
「お待たせ。ジュースどうぞ」
「ありがとう」
陽向くんは、オレンジジュースが入ったコップを2つテーブルに置いて私の隣に座る。
さっきから思っていたけど、私たち以外誰もいないのかな?
鍵も開けていたし‥‥‥。
私と同じく陽向くんには兄弟はいないと知っていたけれど、キョロキョロと辺りを窺って見るもとても静かだ。
「ねぇ、陽向くん。お母さんたちは?」
「親たち仕事でいないんだ」
「そっか‥‥‥って、えっ⁉︎」
いないってことは、それってつまり陽向くんと2人きりってこと⁉︎
驚いていると、陽向くんはなぜか寂しそうな顔で私に尋ねる。