桜の花びらが降る頃、きみに恋をする

「蒼、飲み物持ってくるけど、お茶とオレンジジュースどっちがいい?」

「あっ、じゃあ、オレンジジュースで」

「りょーかい! 持ってくるからその辺に座って待ってて」

「う、うん」

その辺に座ってって言われてもどこに座ればいいか分からず、テーブルの前にちょこんと座った。

なんだか心が落ち着かない。

「お待たせ。ジュースどうぞ」

「ありがとう」

陽向くんは、オレンジジュースが入ったコップを2つテーブルに置いて私の隣に座る。

さっきから思っていたけど、私たち以外誰もいないのかな?

鍵も開けていたし‥‥‥。

私と同じく陽向くんには兄弟はいないと知っていたけれど、キョロキョロと辺りを窺って見るもとても静かだ。

「ねぇ、陽向くん。お母さんたちは?」

「親たち仕事でいないんだ」

「そっか‥‥‥って、えっ⁉︎」

いないってことは、それってつまり陽向くんと2人きりってこと⁉︎

驚いていると、陽向くんはなぜか寂しそうな顔で私に尋ねる。
< 94 / 209 >

この作品をシェア

pagetop