桜の花びらが降る頃、きみに恋をする
「俺と2人きりは、イヤだった?」
「い、いやじゃない。けど、なんかその‥‥‥」
その先の言葉が見つからず、口籠らせていると‥‥‥。
「いやじゃないなら別にいいじゃん」
と陽向くんはさっきとは一変して明るい声で言った。
なんで、そんなに堂々としてられるのだろう?
こっちは、どきまぎしてるのに。
「昨日、蒼の部屋に行った時も2人きりだったし」
「あっ‥‥‥!」
堂々としてられるわけはそこにあったのか!
「可愛かったな、蒼の寝顔姿」
「‥‥‥!」
見られた。
完全に見られた‥‥‥。
「それに」
陽向くんは右手を見つめて、それから私にウインクをした。
「甘えてくれる姿、とっても可愛かったよ」
「なっ‥‥‥! も、もうそれ以上言わないで!」
思い出すだけで、恥ずかしさでいっぱい。
「ごめんごめん!」
と陽向くんは手を合わせて謝るけれど、その顔はやはり笑っている。
「もう、陽向くんの意地悪なんだから〜!」
この前、陽向くんとお出かけした時もそうだ。
学校では意地悪なんてしてこないのに、2人になった時だけ意地悪をするんだから。