桜の花びらが降る頃、きみに恋をする
気が付けば1時間半が経っていた。
陽向くんと少し休憩。
「蒼って、頭良いんだね。教えたところとかすぐに理解してくれるし」
「いやいや、陽向くんの教え方が上手だからだよ」
「なに俺を喜ばせるようなこと言っちゃってるの。ほんと、蒼は可愛いんだから」
陽向くんが言った最後の言葉に、かぁっと頬が赤くなる。
もう、ほんと不意打ちは良くないよ。
「あっ、そうだ!」
陽向くんは、なにかを閃いたのか手を叩いて私にこう言った。
「これからさ、俺のこと“陽向”って呼んでくれない?」
「えっ⁉︎ そ、そんな無理だよ〜!」
数学の問題よりこっちのほうが難問かも!
「1回だけでいいからお願い!」
両手を合わせてまるで神様にでも縋るような仕草をする陽向くん。
ほんと、私はこういう押しに弱い。
「‥‥‥もう、分かったよ」
渋々同意すると、陽向くんはまるでぱあっと花を咲かせたみたいに笑顔になった。