恋が落ちた日
彼が私の前に座る、普段は立ってるのに。
いつもよりも確実に近くなった距離に落ち着かない。イヤフォンの音量を上げる。
私の心と裏腹にゆっくりと進み出した電車。
永遠に感じられるこの時間。
だけど、彼はすぐに降りてしまう。
2曲目のサビに入った。
前向きな恋愛を歌った曲で最近見つけたアーティストの唯一のラブソング。
また音量を上げた。
無意識に視線を移す先には彼がいて、そんな自分に少し笑えた。
彼はスマホとだけ目線を合わせていた。
見てることがバレることはなさそう。