恋が落ちた日
イヤフォンをはずして、慌てて後を追った。
歩くのが早いのか、もう階段をのぼりだしていた。
「‥あの!」
勇気を振り絞って話しかける。
心音が大きくて声の大きさを調節しにくい。
彼と目が合う。
「なんですか。」
さっきは急なことでちゃんと聞けなかった声を今は聞こえた。
あ、やばい。
嬉しくてにやけそうだ。
「すいません、用がないなら行ってもいいですか。」
「ごめんなさい。これ、席に置き忘れたんじゃないかなって思って。」
「‥俺のです。ありがとうございます。」