学園怪談
「うわあああ!」
就寝時間が過ぎて間もない時、窓際に寝ていた1年生の小坂君が悲鳴を上げた。
ただごとではない悲鳴に全員が起き出し、部屋の電気がつけられた。真っ先に林は震える1年生の肩を掴んで言った。
「ど、どうしたんだ!」
「あ、あそこに、今、腕がだら~って」
小坂君の指差す先には窓があったが、特に何も見えない。
「窓に腕が?」
林は注意深く窓に寄って上を見るが、特に何も発見できなかったようで直ぐに戻ってきた。
「いいか、きっと木の枝か何かを見間違えたんだろう。暗かったからな。気にせずに寝るんだ」
「ち、違いますよ! 間違いなく人間の腕でした!」
ヒステリックに叫ぶ後輩をなだめながら、林は部屋の電気を消した。しばらくは起きてしまった他の部員達の喋り声が聞こえていたけど、それでも昼間の稽古の疲れからか、寝息があちこちで聞こえ始めた頃。
……僕も見てしまった。
……ス~ッと窓の外の暗闇に白い腕が垂れ下がって来るのを。
僕は隣で寝ていた林と目が合った。林も寝てはおらず、僕の視線の意味を理解したのか、黙ってうなずいた。
「で、で、出た~!」
先程の1年生が再び悲鳴を上げた。
部屋はまた大騒ぎになったが、それも僅かな間だった。
「いい加減にしろよ!」
「そうだ、こっちは疲れてるんだよ! いい歳して寝ぼけてんじゃねえ!」
他の部員から非難の声が上がり、小坂君は部屋から叩き出されてしまった。
「仕方ない、小坂、お前は反対側の個室で寝るんだ」
林の言葉に小坂君は情けない顔で首を振った。
「い、い、嫌です! 絶対に一人になんかなれません」
1年生でありながら、既に段持ちの剣士である小坂君とは思えない弱気な態度だった。
「大丈夫だ、俺と……能勢も一緒だ」
僕は林の返事に頷き、枕と布団を持って移動を開始した。
……実はね、半身男は普通の人には見えない。ある程度霊感の高い人にしか見えない幽霊なんだ。大部屋に10人くらい部員達が残っていたけど、彼らには半身男は見えないようだった。
就寝時間が過ぎて間もない時、窓際に寝ていた1年生の小坂君が悲鳴を上げた。
ただごとではない悲鳴に全員が起き出し、部屋の電気がつけられた。真っ先に林は震える1年生の肩を掴んで言った。
「ど、どうしたんだ!」
「あ、あそこに、今、腕がだら~って」
小坂君の指差す先には窓があったが、特に何も見えない。
「窓に腕が?」
林は注意深く窓に寄って上を見るが、特に何も発見できなかったようで直ぐに戻ってきた。
「いいか、きっと木の枝か何かを見間違えたんだろう。暗かったからな。気にせずに寝るんだ」
「ち、違いますよ! 間違いなく人間の腕でした!」
ヒステリックに叫ぶ後輩をなだめながら、林は部屋の電気を消した。しばらくは起きてしまった他の部員達の喋り声が聞こえていたけど、それでも昼間の稽古の疲れからか、寝息があちこちで聞こえ始めた頃。
……僕も見てしまった。
……ス~ッと窓の外の暗闇に白い腕が垂れ下がって来るのを。
僕は隣で寝ていた林と目が合った。林も寝てはおらず、僕の視線の意味を理解したのか、黙ってうなずいた。
「で、で、出た~!」
先程の1年生が再び悲鳴を上げた。
部屋はまた大騒ぎになったが、それも僅かな間だった。
「いい加減にしろよ!」
「そうだ、こっちは疲れてるんだよ! いい歳して寝ぼけてんじゃねえ!」
他の部員から非難の声が上がり、小坂君は部屋から叩き出されてしまった。
「仕方ない、小坂、お前は反対側の個室で寝るんだ」
林の言葉に小坂君は情けない顔で首を振った。
「い、い、嫌です! 絶対に一人になんかなれません」
1年生でありながら、既に段持ちの剣士である小坂君とは思えない弱気な態度だった。
「大丈夫だ、俺と……能勢も一緒だ」
僕は林の返事に頷き、枕と布団を持って移動を開始した。
……実はね、半身男は普通の人には見えない。ある程度霊感の高い人にしか見えない幽霊なんだ。大部屋に10人くらい部員達が残っていたけど、彼らには半身男は見えないようだった。