学園怪談
第25話 『未来を予知する印刷機』 語り手 斎条弘子

「さて、じゃあ私の番ですね」
 斎条さんはカバンからノートを一冊取り出すと、私に渡した。
「これを勢いよくめくってみてください」
 私がノートをパラパラとめくっていくと、右下に書いてあった棒人間が、クルクルとバクテンしたり走ったりという『パラパラマンガ』が見てとれた。
「あ、凄い。うまく書けてますね」
 私はノートを返した。
「今回私がお話しするのは、そんなパラパラマンガみたいなお話です」
 
 ……どこの学校にも印刷機は必ずありますよね。一日に何回も使われて、一度の製版でガシャン、ガシャンって何百枚も印刷できます。でも、うちの学園の印刷機に一つだけ……特別な印刷機があるんです。
 印刷室の奥に電源を落とされて置かれている印刷機。あれはもう誰も使っていませんが、凄い秘密が隠されています。
どんな秘密だと思いますか?
 実は、この印刷機は未来を予知する力があるんです。以前あった本当の話で、私の所属する生徒会の会長の権田先輩が生徒全体に宛てた体育祭についての手紙の印刷を行った際、予行演習の写真が入った部分だけ印刷枚数を重ねる度にパラパラマンガのようになったと聞きました。
 それの内容は、体育祭で綱引きの綱が切れ、先輩が頭に怪我をするという内容でした。いちおう綱を調べると、確かに綱は相当古いものでした。でも、太く丈夫な綱ですから問題ないのではないか? ということで、そのまま体育祭で綱引きは決行されました。
 しかし当日、綱引きの最中にやっぱり綱は切れてしまい多くの生徒達が倒れこんだ際に頭をうったり、擦り傷を作ったりして怪我をしました。先輩も綱とみんなの下敷きになり頭に軽い怪我を負いました。
……予知は正しかったのです。
< 105 / 235 >

この作品をシェア

pagetop