学園怪談
第26話 『たった1日』 語り手 石田徹
徹さんは勢いよくイスから立ち上がると、だらしなく伸びた袖をまくった。メリーさんに続いてかなり気合が入っているようである。
「さて、それじゃあ弘子ちゃんの話と似た感じになるけど、俺の話を始めよう」
……どうやら麦茶は大丈夫のようだ。
「俺はね『幸福質量保存の法則』というものがきっと存在しているんだと思うんだ」
「幸福質量保存の法則?」
私は聞きなれない言葉に興味を覚えた。
「うむ。人には幸せの形はどうあれ一定の幸せの量は変わらない。そして、更に俺が思う事は、不幸せの量も同じだけ存在し、それらは秤に乗せれば丁度釣り合いがとれるようになってるんだ。つまり、幸せな人にはたくさんの不幸が同時に存在しているということだね」
「はあ、そんなもんですかね。でも私の場合、基本的に悪いことよりもまずまず良いことの方が多い感じなんですが?」
私は結構能天気な性格だからか、そんなに自分が不幸だと思ったことはない。
「でもさ、今までに大きな病気とかにかかったことないかい?」
徹さんに言われて過去を思い出す。
「ああ、確かに1回だけ重たい病気にかかってますね」
「でしょ、つまり、キミの場合は不幸が一気に大きな塊として届いちゃったんだね、だから釣り合いを取るために、今は特に不幸なことが起こらない」
そう言われればそんな気がしないでもない。
「まあいいや。とにかく俺の話はそんな幸福と不幸の運命に翻弄された女の子の物語だ」
グルルル。
徹さんの腹から変な音が聞こえたが、私は特に気にしないことにした。
徹さんは勢いよくイスから立ち上がると、だらしなく伸びた袖をまくった。メリーさんに続いてかなり気合が入っているようである。
「さて、それじゃあ弘子ちゃんの話と似た感じになるけど、俺の話を始めよう」
……どうやら麦茶は大丈夫のようだ。
「俺はね『幸福質量保存の法則』というものがきっと存在しているんだと思うんだ」
「幸福質量保存の法則?」
私は聞きなれない言葉に興味を覚えた。
「うむ。人には幸せの形はどうあれ一定の幸せの量は変わらない。そして、更に俺が思う事は、不幸せの量も同じだけ存在し、それらは秤に乗せれば丁度釣り合いがとれるようになってるんだ。つまり、幸せな人にはたくさんの不幸が同時に存在しているということだね」
「はあ、そんなもんですかね。でも私の場合、基本的に悪いことよりもまずまず良いことの方が多い感じなんですが?」
私は結構能天気な性格だからか、そんなに自分が不幸だと思ったことはない。
「でもさ、今までに大きな病気とかにかかったことないかい?」
徹さんに言われて過去を思い出す。
「ああ、確かに1回だけ重たい病気にかかってますね」
「でしょ、つまり、キミの場合は不幸が一気に大きな塊として届いちゃったんだね、だから釣り合いを取るために、今は特に不幸なことが起こらない」
そう言われればそんな気がしないでもない。
「まあいいや。とにかく俺の話はそんな幸福と不幸の運命に翻弄された女の子の物語だ」
グルルル。
徹さんの腹から変な音が聞こえたが、私は特に気にしないことにした。