学園怪談
彼はね、とてもいたずら好きな事で有名だった。まだ小学生の気分でいたのかもしれないけど、黒板消しをドアにしかけたり、友達の上履きを隠したり、女の子の髪を引っ張ったりして他人を困らせていた。
そんな彼は学園に入学して初めてのゴミ捨て当番の際におじさんに出会った。最初は珍しいものでも見るような警戒を見せていたものの、好奇心に火がついてしまったようで、次の日にはゴミ箱の中に爆竹を混ぜておいた。
「これで、どうなるか見ものだぜ」
 彼と数人の友人達はゴミ箱を渡すと、後ろに後ずさった。
パン! パパン! パンパン!
焼却炉の中から炸裂音が響き渡り、周りに居た他の生徒達はパニックを起こした。
 しかし、おじさんだけは特に気にするでもなく、ゴミの処理を続けていた。
 おじさんが無反応だったことが、土方君は気に入らなかった。普段は無口なおじさんの、怒るとかビックリするとかの反応を見届けたかったからだ。
「見てろよ、明日は違うものを入れてやる」
 次の日、土方君は科学の授業中に実験で発生させた水素をこっそりビニール袋一杯に溜め込んで隠し持っていた。そして、放課後の掃除時間に、ゴミ箱の底に気づかれないように入れておいた。
 その日はゴミ箱は別の生徒が持っていったが、土方君は裏庭の掃除だったので事の一部始終を見つめていた。
 バアアアアン!
 ゴミが焼却炉に入ったと同時に大きな炸裂音が響き渡り、焼却炉から一瞬の激しい炎と共に燃えカスや、火のついたままのゴミが辺り一面に飛び散った。
近くにいた生徒はみな悲鳴を上げたが、おじさんだけは何も驚くことなくゴミの処理を続けていた。
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