学園怪談
第28話 『空手部のしごき』 語り手 山﨑大介
徹さんは淳さんの話の後、再びお腹が下り、またまた急いでトイレへと走っていった。
そんな徹さんを待たず、続いて大ちゃんさんの話が始まった。
「じゃあ始めるとしようか。そろそろ部活動に関する話を1話しておこうかな」
そういえば、ここのところ2話続けて大ちゃんさんには珍しく、スポーツには関係ない話だった。
「次の話は部活動の中でも一番危険な奴らの集まり……空手部の話だ」
……心、技、体。武道を志すものとして己を鍛える毎日の精進はとても大切なことだ。俺は野球部だけど、子どもの頃は柔道もやってたんだ。だから格闘技の凛とした空気とか、殺気みたいなものが大好きだったんだよ。日々コツコツと鍛錬して強い自分を育てる。野球とはまた違った趣があって武道は本当に素晴らしいと思う。
でも、武道を習う者の中には純粋に強くなりたい人もいれば、邪な気持ちで習っている人もいる。
……ウチの空手部は個人戦では良い結果を出すんだけど、団体戦となるといつも負けてしまう両極端な部だ。少人数の部員で成り立っているからそんなに活気はなく、日陰の部活動なんだ。でもね、毎年それなりに部員は入るから廃部にはならずに続いている。
「ハアア!」
ゴワア!
その秘訣は新入生への部活動紹介の際のパフォーマンスにあった。毎年、空手部はブロック割り、板割りなんかの派手な実演をしては、憧れて入ってくる新入生で賑わっていた。
でもね、この空手部の内情は……酷いものだった。
「1年! オラァ! もっと腹に力入れて受けやがれ!」
黒帯をつけた男が、新品の道着を着た1年生達の腹に蹴りを入れる。
たまらず吹き飛び、傷みに腹を押さえている1年生を殴り、再び立ち上がらせては蹴り、殴る。
入部した1年生達を待っていたのは、代々の主将を始めとする先輩達の執拗なまでのイビリだった。
徹さんは淳さんの話の後、再びお腹が下り、またまた急いでトイレへと走っていった。
そんな徹さんを待たず、続いて大ちゃんさんの話が始まった。
「じゃあ始めるとしようか。そろそろ部活動に関する話を1話しておこうかな」
そういえば、ここのところ2話続けて大ちゃんさんには珍しく、スポーツには関係ない話だった。
「次の話は部活動の中でも一番危険な奴らの集まり……空手部の話だ」
……心、技、体。武道を志すものとして己を鍛える毎日の精進はとても大切なことだ。俺は野球部だけど、子どもの頃は柔道もやってたんだ。だから格闘技の凛とした空気とか、殺気みたいなものが大好きだったんだよ。日々コツコツと鍛錬して強い自分を育てる。野球とはまた違った趣があって武道は本当に素晴らしいと思う。
でも、武道を習う者の中には純粋に強くなりたい人もいれば、邪な気持ちで習っている人もいる。
……ウチの空手部は個人戦では良い結果を出すんだけど、団体戦となるといつも負けてしまう両極端な部だ。少人数の部員で成り立っているからそんなに活気はなく、日陰の部活動なんだ。でもね、毎年それなりに部員は入るから廃部にはならずに続いている。
「ハアア!」
ゴワア!
その秘訣は新入生への部活動紹介の際のパフォーマンスにあった。毎年、空手部はブロック割り、板割りなんかの派手な実演をしては、憧れて入ってくる新入生で賑わっていた。
でもね、この空手部の内情は……酷いものだった。
「1年! オラァ! もっと腹に力入れて受けやがれ!」
黒帯をつけた男が、新品の道着を着た1年生達の腹に蹴りを入れる。
たまらず吹き飛び、傷みに腹を押さえている1年生を殴り、再び立ち上がらせては蹴り、殴る。
入部した1年生達を待っていたのは、代々の主将を始めとする先輩達の執拗なまでのイビリだった。