学園怪談
「オラ! 強くなりてえんだろ!」
部活動のパフォーマンスでは偽物のブロックや板を割り、憧れて入部してきた1年生を自分達の遊び道具にする……。それがこの新座学園空手部の実体だった。
もちろん、1年生たちは退部したり親へ訴えたりする者も多い。でもね、部活動の練習の一環と言えばある程度は見逃されるし、自分達が2年、3年になったら逆に殴り放題のおもちゃを手に出来るというエサがあってか、それでも部活動は続けられていた。
……どのくらい前かは忘れたけど、この部の主将に高沢という3年生がいた。彼の代は特に荒れていて、病院送りになった新入生が数多く出てしまったことで有名だった。
「先輩! 俺、俺もブロック割りたいです!」
その年の1年生の中に早田君っていう男子生徒がいた。彼は華奢で色白、体も小さく、今までにスポーツらしいスポーツをやったことのないモヤシのような男の子だった。
「よし! なら今からグラウンドを裸足で50周走って来い!」
「オス!」
早田君は言われたとおりに裸足で校庭を走った。砂や小石の落ちるグラウンドを裸足で走ると、足は真っ赤に腫れあがり、所々の皮が剥けたり血が滲んだりもした。
「次、打撃を受ける練習だ。早田! 俺の蹴りをガードして受けろ!」
「オス!」
バキッ! ドカッ!
腕は毎日打撲になり、捻挫や擦り傷なんかで体はボロボロにされていった。
しかし、それでも素直で真面目な早田君は、強くなりたい一心で言われるままに毎日の部活動に精を出した。
他の部員たちは逃げ出すか泣きを入れるのに、早田君だけは歯を食いしばっては毎日のシゴキを耐え抜いていく。
それがプライドの高い高沢には気に入らなかった。他の部員が目を覆いたくなる程、高沢の早田君に対するシゴキは度を越えていた。しかし、それでも早田君は泣き言ひとつ言わずに高沢の言うことを守った。
……そして、1年生ももうすぐ終わりになろうかというある日。
「今年の部活動紹介のブロック割り、板割りは……早田! お前にやってもらう」
高沢の意外な人選に一同が目を見張る中。
「オス!」
早田君は一人元気な返事を返した。
部活動のパフォーマンスでは偽物のブロックや板を割り、憧れて入部してきた1年生を自分達の遊び道具にする……。それがこの新座学園空手部の実体だった。
もちろん、1年生たちは退部したり親へ訴えたりする者も多い。でもね、部活動の練習の一環と言えばある程度は見逃されるし、自分達が2年、3年になったら逆に殴り放題のおもちゃを手に出来るというエサがあってか、それでも部活動は続けられていた。
……どのくらい前かは忘れたけど、この部の主将に高沢という3年生がいた。彼の代は特に荒れていて、病院送りになった新入生が数多く出てしまったことで有名だった。
「先輩! 俺、俺もブロック割りたいです!」
その年の1年生の中に早田君っていう男子生徒がいた。彼は華奢で色白、体も小さく、今までにスポーツらしいスポーツをやったことのないモヤシのような男の子だった。
「よし! なら今からグラウンドを裸足で50周走って来い!」
「オス!」
早田君は言われたとおりに裸足で校庭を走った。砂や小石の落ちるグラウンドを裸足で走ると、足は真っ赤に腫れあがり、所々の皮が剥けたり血が滲んだりもした。
「次、打撃を受ける練習だ。早田! 俺の蹴りをガードして受けろ!」
「オス!」
バキッ! ドカッ!
腕は毎日打撲になり、捻挫や擦り傷なんかで体はボロボロにされていった。
しかし、それでも素直で真面目な早田君は、強くなりたい一心で言われるままに毎日の部活動に精を出した。
他の部員たちは逃げ出すか泣きを入れるのに、早田君だけは歯を食いしばっては毎日のシゴキを耐え抜いていく。
それがプライドの高い高沢には気に入らなかった。他の部員が目を覆いたくなる程、高沢の早田君に対するシゴキは度を越えていた。しかし、それでも早田君は泣き言ひとつ言わずに高沢の言うことを守った。
……そして、1年生ももうすぐ終わりになろうかというある日。
「今年の部活動紹介のブロック割り、板割りは……早田! お前にやってもらう」
高沢の意外な人選に一同が目を見張る中。
「オス!」
早田君は一人元気な返事を返した。