学園怪談
 ……。
「びええええ」
 あまりの感動的なお話に徹さんが涙ながらにハンカチで鼻をかんでいた。
「ええ話や。ええ話やなあ」
 チーン。チーン。と何度も鼻をかみ、その度に場の空気が壊れていく。
「もうアンタは! せっかく人がいい話をしてるのに!」
「だ、だって~。びええええん!」
 そんな二人を見ながら、私もこっそりと涙を拭いていた。
「それにしても、はあ、『好き』って伝えるだけの強さかあ。これは名言だわ」
 隣で斎条さんが熱いため息を漏らしていた。
私は妙に脈が速くなるのを感じつつ、斎条さんと同じ事を考えていた。

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